ジャニーズタレント徹底論考

グループにこだわらないタレントマネジメント

昨今のジャニーズタレントがらみのニュースを追うと、いくつかの傾向が見て取れる。

ひとつは、グループにこだわらないタレントマネジメントである。

これはおそらく、生田斗真の成功が大きいと思うが、グループデビューをしていない風間俊介をプッシュしたり、赤西仁の独自活動を認めたりと、これまでのグループをアイデンティティとするマネジメントから少し例外が出始めている。

スポンサードリンク↑
生田斗真が東京映画記者会(デイリースポーツなど在京スポーツ7紙で構成)制定の「第53回ブルーリボン賞」において、ジャニーズ事務所所属タレントとしては初めてブルーリボン賞(新人賞)受賞したのは記憶に新しい。生田はグループデビューを経験せずに、同事務所では「ふんどしかつぎ」「二軍」にあたるジュニアを卒業。しかも現在は俳優一筋という異例の存在だ。

どうして異例かというと、ジャニー喜多川御大の方針はあくまで歌って踊れるタレントにある。そして、異なるタイプのタレント数名によって構成される「全員スター制」のグループデビューが基本になっている。ソロ活動は、グループに所属しながらのものなのだ。

今やタレントを束ねる立場の近藤真彦だって、正式なグループではないかもしれないが「たのきん」の一員であったし、今は事務所一の期待の新星、中山優馬もNYCという3人組でデビューさせた。ではなぜ「グループデビューが基本」なのか。

何しろジャニーズ事務所は、これまでソロのプロモーションにおいていい思いをしていない。過去のソロデビュー者を見ると、永田英二、葵テルヨシ、森谷泰章、未都由、赤木さとしなど、早い話、芸能史上成功とはいえないB級歌手がぞろぞろ出てくる。

しかも、成功した郷ひろみや豊川誕、川崎麻世、井上純一などは、これからというときにみな事務所を出て行ってしまった。とくにジャニー喜多川御大は、郷ひろみの離脱に対して落胆が大きく、「たのきん」が出てくるまで同事務所はスランプのどん底だったという思い出したくもない黒歴史がある。

だから、いったんグループデビューを果たしながら、ソロになるというのは事務所的にはありえない話のはずだったのだ。赤西仁がその道を切り開いたわけだが、彼が例外ではなく後続を認めたところが「時代の変化」を感じる。

ふたつめは、海外戦略にこだわっていることだ。山下がソロとしてやっていくターゲットとして海外進出を念頭においているのは報道にもあるとおり。それだけでなく、本稿でも言及したようにSMAPが北京公演を行い、格と実績からいっても時期尚早といわざるを得ないHey!Sey!JUMPにすら、ジャニー御大はそれを期待するコメントを発している。

三つ目は、矢継ぎ早な人事発表である。ジャニーズ事務所は今や11組をデビューさせているが、一気にデビューさせたわけではなく、各グループのデビューには時間を置く戦略をとった。そのグループだけに集中的なプロモーションを行い、かつファンの世代を棲み分けるためだ。これも同事務所としては伝統的な手法で、かつてのジャニーズ、フォーリーブス、郷ひろみ、たのきん、シブがき隊もその手法で大きく育った。

それが、今年になってKisーMyーFt2、Sexy Zoneと続けざまにデビューをさせた。

そう。ジャニー御大の目利きで、デビューさせた一人ひとり(組)をじっくり育てて歩留まりの高いプロダクション経営を行ってきた同事務所が、「歩留まりは悪くてもたくさんデビューさせてあとは市場に任せる」という量産の方向に舵を切っているのではないか、ということである。

おそらくこれは、ジャニー・メリーの個人商店でやってきた同事務所が考えた「生き残り戦略」なのだろう。ネット戦略ができていないといわれてきたが、今年に入って震災という偶然もあってSMAPの曲をネット販売した。これまた「たてこもり被害」という偶然とギネスブックの慶事によって、ジャニー御大が素顔をオフィシャルに公開もした。

今後も、何かのきっかけでそうした「変化」が次々起こるのではないだろうか。

アイドル帝国ジャニーズ 50年の光芒 (宝島社新書)

アイドル帝国ジャニーズ 50年の光芒 (宝島社新書)

  • 作者: 小菅 宏
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2012/06/09
  • メディア: 新書